2/4に静岡県立中央図書館にて行われた寺田氏の講演会は約70名の参加がありました。
2/6の静岡新聞には、寺田氏が語った「格好だけの無責任なデザインは図書館の成長を邪魔する恐れがある」「運営方法の知見を有する図書館職員が整備計画に深くかかわることが大切」などが紹介されました。
他 中日新聞、朝日新聞、SBSニュースでも取り上げられました。
下記は参加者の心に残った言葉や感想です
★印象に残った言葉
・図書館の目的は賑わいを作ることだけでなく、自分と向き合うための場所。
・図書館の専門性を保つためには人を育て、継承していくことが必要。
異動のある正規職員と、不安定な雇用の非常勤職員でそれができるのか疑問。
・仕様書ではやってほしいことだけでなく、やってほしくないこと、も明確化する。
・図書館は民主主義のかたちそのもの。
・県立図書館は市町図書館の拡大ゼロックスではない。
・賑わいより専門性。
・目先のことにとらわれてはダメ。今選択することが、50年以上先にどういう結果を生むか、どう影響するかを考える。
・図書館は、本、人、モノと出逢い、そして自分を確かめる場所。 だから一人になれる場所が必要。
・やってほしいことだけでなく、やってほしくないこともプログラムに入れること。こうしてほしい、こうしたいとはっきり記載することが大切。
・成長できる書庫であること=将来成長できる図書館であること。
・審査員選びは、運営する人の目で図面を見ることができる人が入るようにすること。
・スプリンクラーには誤作動が多い。施設に必要かどうかは建築家任せでなく、提案を受ける側もしっかり勉強して議論できるようにする。
・閉架について研究している学者がいない。
★感想文
・県立図書館HP「館長のひとりごと」から
昨日の日曜日、福岡県の苅田町立図書館、佐賀県の伊万里市立図書館、福島県の南相馬市立中央図書館の施設設計を手がけた建築家の寺田芳朗氏((株)寺田大塚小林計画同人代表取締役)の講演会が当館で催され、県内各地から70人以上の参加がありました。施設計画の視点から新図書館整備を進めていく上での留意点などのお話を伺いました。「図書館がめざすものは何か、それを実現するためにはどうあるべきか」「図書館は単なる『もの』『場』ではなく、『活動』によって変化し続ける」「基本構想・基本計画を具現化・達成する詳細な仕様書(建築計画書)の重要性」「基本計画作成や施設設計チームの中心に図書館職員がいること」のほか、ブラウジングの重要性、公開書庫と準開架、閉架書庫、複合施設における図書館などについても、実際に関わられた図書館の例をあげながら、建築基準法や消防法などの知識も交えて、わかりやすくお話しいただきました。新しい図書館建設には当事者である図書館職員が深く関わらなければならないことを強く感じましたし、同時に大きな責任を背負っていることも痛感しました。こうした講演会を企画運営してくださった「新たな県立図書館を望む会」と「静岡図書館友の会」の皆さん、講師の寺田氏に感謝です。・このような会を県立で行うのは難しいので、今回素晴らしい勉強の機会を作ってくださり、感謝です。有難うございました。
・建築に疎く、今回初めて知ることが多かったです。
「どういう活動をするから、このような活動の場が必要」という言葉が印象的だった。
・本日はお話有難うございました。
私はこれまで建築という視点から図書館を考えたことはなく、今回勉強のために参加させていただきました。
寺田先生が、深く図書館の使命や機能、図書館員のメンタリティについてまで理解されており、感動しました。
図書館職員自身が、自分たちの意義を語ることの難しさをも思いました。
図書館を新しくつくるということは、まちの人たちにとってもですが、図書館員自身にとっても夢です。一生のうち1度あるかないかのことです。
ただし、町の人、この場合、県全体のこの先50年を支える存在、機能を発揮できないといけない。
本日参加された県立図書館の職員の方や、県民の方にも先生のお話によってそのことが深く伝わったと感じました。
自分も1利用者として、未来のことを考えながら、この先のことを見守り、参与していきたいと思います。ありがとうございました。
・非常に良い話をうかがうことができました。有難うございました。
・賑わい創出を目指す図書館が声高に言われる中、世界表現を提示する図書館という考え方に、眼を開かれる思いがしました。
各市の図書館の紹介も内容が充実していて、ぜひ行って自分の眼で見たいと感じました。
・建築家の方のお話は初めてで、新鮮でもあり難しくもあり… しかし、やはり「人」だということや「自分と向き合える場所に」「ホッとする空間に」というようなお言葉が発せられたときには、寺田氏との距離がぐんと縮まりとても嬉しく思いました。
・近年、図書館建築や図書館そのものの役割が、安易なキャッチフレーズや目新しさに囚われすぎていることについて、寺田先生が仰っていたことに大変共感しました。また、図書館づくりの「目的」と施設づくりの乖離があるという事例もお聞きし、「図書館を何故つくるのか」という根本的なことについて、図書館側(司書)、建築家(設計者)、行政側が共有することの重要性を学ぶことができました。
本来の図書館の役割とは、これまで蓄積されてきたありとあらゆる情報資源を分類、組織化し、人々に提供すること、また、寺田先生が仰っていたように、「価値を関連付ける」ことで、その人にとって新たな知見を提供することにあると考えます。
もちろん、時代に合った図書館、市民に求められる図書館づくりに向き合うことは大変重要ですが、目新しさ、独創性のみにこだわらず、本来の図書館の役割を全うできる「機能的な」図書館をつくることが重要だと思います。また、「文化力の拠点」というからには、静岡県の文化力を担う人材の育成及び人事システムの構築について検討することも重要だと考えます。