静岡県知事の選挙に伴う「県立図書館政策」について公開質問状の質問と回答(到着順)
日頃、図書館・文化行政などにつきましてご理解ご支援いただき有り難うございます。私たちは、地域の図書館がよりよいものになるようサポート活動をしている市民グループです。新県立図書館については、東静岡駅前への移転が順調に進んでいることに感謝すると共に、新たな時代に対応した図書館ができることを期待しております。
今回の静岡県知事選挙にあたり、大きな転換点を迎える新県立図書館のあり方などについて見解をお示しいただきたく、公開質問状をお送りさせていただきます。なお、いただいたご回答につきましては、速やかに当会ホームページに掲載するなど、公開させていただきますのでご了承下さい。ご健闘をお祈り申し上げます。
2024年5月
静岡図書館友の会 代表代行 山下多津美
今後の図書館行政について下記の点についてのお考えをお聞かせください。
Q1・ 県のホームページに発表されている「新県立中央図書館整備計画」は、新たな生活様式の時代を見据えた県立図書館の基本的機能と市町立図書館を支援する県立図書館の役割が良く整理された計画だと思います。関連して次のことについてお伺いします。
Q1-1 「新県立中央図書館整備計画」を尊重し、この内容に添って計画を推進して頂けますか?
鈴木康友氏の回答
新県立中央図書館については、これまで議論されてきた経過を踏まえ、整備計画に基づき取り組んでいきます。
森大介氏の回答
計画のコンセプトは、サービス・資料の充実の他、県内図書館の中核として市町図書館を支援し、知のインフラとして の役割を拡充するものとなっています。生涯を通じた学習活動、知的生産活動を保障するものとして、図書館サービスの充実に努めることは図書館の使命です。県立図書館の位置づけを明確にすることは重要な視点であり、この方針で進めるべきと考えます。
大村慎一氏の回答
新県立図書館については、当該整備計画に基づき、現在、基本・実施計画が進められています。まずは、その進捗状況をよく確認した上で、時代の変化に対応し未来につながる発展性ある図書館となるよう、また各市町立の図書館の中核機能を持った施設として整備されるよう努めてまいります。
濱中都己氏の回答
「新県立中央図書館整備計画」を尊重し、この内容に添って計画を推進します。
Q1-2 運営形態は「新県立中央図書館整備計画」に明記されているように、指定管理者等の外部委託ではなく、県教育委員会による直営を維持しますか。又、その理由もお聞かせ下さい。
鈴木康友氏の回答
管理運営方針に示されているとおり、中央図書館に求められる根幹業務については、高い専門性や市町図書館の支援などが求められることから県の直営とします。定型業務や新たに求められる機能については民間のノウハウを活かし、県民のみなさまにより良いサービスを提供できる仕組みとします。
森大介氏の回答
県立図書館の運営は、県直営とすべきと考えます。
公立図書館は図書館法に基づいて地方公共団体が設置し、教育委員会が管理する機関です。図書館を設置し、図書館サービスを実施することは地方公共団体の責務です。住民の暮らし、職業や精神的自由に深く関わる機関であり、公立図書館は地方公共団体が直接管理すべきであり、運営を他に委託すべきではないと考えます。
大村慎一氏の回答
直営又は指定管理者等による運営の双方にメリットやデメリットがあることから、効率的でサービス水準の高い運営がなされることを前提として、これまでの経緯も踏まえ、従来の図書館機能及び新しいタイプの図書館機能について、それぞれ最適な運営体制が選択されるよう努めてまいります。
濱中都己氏の回答
県教育委員会による直営を維持します。
外部委託すると、不正の温床になりかねないからです。
Q1-3 新県立図書館には、多様な県民の知的ニーズに対応するための専門的資料や地域資料のほかに、県内市町立図書館を支援し静岡の発展に寄与する知のインフラとして、県立図書館の資料収集方針を満たす資料費が必要かと思います。予算シーリングで機械的に削減することなく継続的に資料費を確保して頂けるかお伺いします。
鈴木康友氏の回答
知のインフラにふさわしい資料費の確保に努めます。
森大介氏の回答
本県の資料費は2023年度は、前年度比で500万円削減されています。蔵書数は他県に比べ決して多いとは言えず、さらなる資料費の増額で、図書館の自由に関する宣言にある「全ての国民が必要とする資料を入手し利用する権利」を保障すべきと考えます。
大村慎一氏の回答
新県立図書館が県民の知的ニーズに的確に対応し、その機能を十分果たすためには、必要かつ十分な資料収集をしていくことが重要でありますので、適切な予算配分ができるよう努めてまいります。
濱中都己氏の回答
継続的に資料費を確保します。
予算が足りないようであれば、増額も検討します。
Q1-4 新県立図書館の運営には、「これまで以上に多様な機関と連携して情報・ 知識を提供する図書館、人々の多彩な交流を育み、静岡の新しい文化を創造する礎となる 新しいタイプの図書館として生まれ変わる」ことが期待されています。新県立図書館としての新たなサービス展開などのお考えがありましたらお聞かせ下さい。
また、これらを実現するためには、引き続き図書館専門職としての司書の採用や増員が望まれます。
図書館専門職制度による専門職(司書)の採用・養成について 公募採用、計画的な採用、採用人数などのお考えがありましたらお聞かせください。
鈴木康友氏の回答
図書館の枠を超え「学び・交流し・創造するする場」として、デジタル技術の活用はもちろん、多様な人材交流の場、あるいは産学官連携の場などイノベーションを生み出す拠点としていきたいと考えます。
現時点では具体的な計画は持ち合わせていませんが、今後しっかり検証してまいりたいと考えています。
森大介氏の回答
住民の要請に応じて資料を即座に探し出し、手元に届ける司書は専任、専門、正規であるべきです。全国的に公立図書館司書の非常勤化が進んでいますが、これでは、住民に対する図書館利用の権利保障の後退につながります。
本県の図書館職員数も司書数も決して充足しているとは言えず、年間計画で専任、専門、正規の司書を増員します。
大村慎一氏の回答
新県立図書館は、東静岡駅ともデッキで連結されるなど、現施設の立地条件とは大きく異なり、多くの来館者が訪れることが期待されております。
このため、リカレント教育など社会人にも開かれた生涯学習の場や、多文化共生サービスのさらなる充実の場など、時代の変化に対応したポテンシャルの高い施設になることを考えています。
また、図書館を支える司書は、様々なサービスの拡充やAIなど 技術革新が進展する中、高度な専門性を求められておりますので、その採用及び育成等の方針については、教育委員会と十分に意見交換してまいります。
濱中都己氏の回答
私は今回の県知事選の公約で、請願権の拡充を掲げています。請願権の支援のサービスを新たに展開させていただきます。
請願の言葉を議会・官公庁が受け入れやすい文章に仕上げ提出し、議会官公庁からの専門用語や法律用語のわかりにくい表現を請願者に対してわかりやすい言葉に言いかえて伝えることにより、政治・行政と国民との橋渡しを行います。
Q2 県立公文書館の設置についてお伺いします。「公文書等の管理に関する法律」では、「健全な民主主義の根幹を 支える国民共有の知的資源のとして、主権者である 国民が主体的に利用し得るものである」としています。静岡県においても、県民共有の知的財産として行政文書を保存・公開し、行政の説明責任を果たすために、県立の公文書館を設置するお考えはありますか。
鈴木康友氏の回答
行政文書の保存・公開は重要なことであり、今後はデジタル技術を活用し、保存管理することが重要と考えています。公文書館の設置についてはファシリティマネジメントの観点から検討してまいります。
森大介氏の回答
県立の公文書館は必要と考えます。
大村慎一氏の回答
公文書は、県民共通の貴重な財産です。最も大事なことは、公文書を適切に保存し、いつでも誰でも利用できるようにすることです。まずは、県民が利用できる公文書を増やすことが重要でありますので、デジタル技術等を活用し、できる限り多くの公文書を公開するなど公文書館が持つべき機能の充実を図ります。
また、現在、県庁に「静岡県公文書センター」が設置され、17千冊を超える文書が公開されておりますが、県立公文書館のあり方については、公文書の電子化やデジタル技術の進展等を踏まえ、新県立図書館の活用、バーチャルな公文書館の設置など、様々な選択肢を含めて検討してまいります。
濱中都己氏の回答
県立の公文書館の設置は必要です。